人徳ってなんですかね?

人徳とか徳ってよばれるものの正体って何だろう?

そして、あの人(主に上司)には何故それが大事なところで感じられないのだろう?

 

そんなことを真剣に考える日が会社勤めをしていると3〜5年に1回くらい来ませんか?実は今はその時期になってまして、ここ一ヶ月くらい考えています。

 

一緒に仕事をしていて、誰かと信頼関係を作ろうと思ったら仕事でしてもらった以上のことを返すキャッチボールを続けるというのが常套手段なんじゃなかろうか?と思っているんですが、時々この人の良心を悪用するというか持ち逃げするタイプの人と一緒に仕事をすることがあります。私はそういう持ち逃げするタイプの人をバンパイアだと思うことにしています。


良心など、すぐに個人の経済的な事情に押し流されてしまう現代社会にあって、いかに良心を保ち、付加価値を加えた仕事のパスを回し、良いパスの受け手であり続け、よいパッサーであり続けるかは日々試されていると思います。特に会社のような経済的な合理性を追求する集団に所属すると、やがて個人の経済合理性を極大化することに腐心するバンパイアのような人が生まれるのは仕方の無いことかもしれません。そして、そのバンパイアは一人の人間の心の奥に産声を上げることもあるし、集団としてのバンパイア文化を生み出してしまい、その集団の中で他者と同じようにバンパイアとして生きるか、はたまた人間としての理性を保つかということを所属する成員一人ひとりに、仕事の判断の細部にわたって問いかけてくることもあります。これはこれで一つの文化なんでしょうけど、私はそういう空気を極力さけて今まで生きてきました。

 

必要があって、なおかつどこかで分かってもらえそうであれば、バンパイアと戦っても来ましたが、私の持っている十字架やニンニクや聖水では太刀打ちできないことも多く、そんな時は迷わず逃げることにしています。まさに「逃げるは恥だが役に立つ」と考えるようにして全力で逃げます。だって、仕事のアウトプットの大きさは「能力×やる気×考え方」という公式に表せるっていうじゃないですか?そして、この「考え方」のパラメーターは+(プラス)ばかりではなく−(マイナス)になることもあり得るのです。私から見ると、個人の評価の最大化を目指して人の仕事の成果を食いつぶす仕事の進め方は「考え方」として組織が本来目指すアウトプットに対してマイナスに働くように見えてしまうのです。だって、そういう「考え方」で仕事を押し付けられると、仕事に対してモチベーションが上がらないとか、気が進まない仕事を押し付けらている被害者意識とか、自分がやっていることが無駄に思えるとか、そういう負の空気が職場を覆って会社のためにならないじゃないですか?しかも、自らが頑張れば頑張る程に負のスパイラルを加速させてしまうという状態になるのです。これって組織としてダメですよね?

 

こういった状況に追いつめられて、精神を病んでしまう人が現れる現場を何度も目撃してきました。そしてそんな状況を見ると、私も滅入ってしまうんです。なので止むに止まれぬ気持ちで発生源のバンパイアに苦言を呈するとか、上司であれば相談の姿勢を示しながら気付いてもらう努力をしたりするのですが、これが難しい。価値観の問題ですからね。

 

そうした状況が目に見える形で自分の目の前に隆起した時に、自分がどう振る舞うべきか?という問題に関しては私としては、もう結論が出ています。まずは全力で逃げることを考える。これは異動や転職も含めて最大限に可能性を探ります。それが叶わない場合は「私は私の人生を生きている。」ということを会社でも意識することにしています。さっきの仕事のアウトプットの公式でいう「考え方」のところの判断軸を会社というか組織に合わせることができないのであれば、もう自分の軸を優先させてしまう。私の目指す所と会社の目指す所が同じであれば、そういう課題には積極的に協力するが、そうでないと自分が思う場合は、いち雇われ人として上位職者の指示に従うというドライなスタンスを貫くことにしています。スタンスを決めることで自分の精神の安定を守ることにしています。決めたスタンスに沿っているかを客観的にチェックする自分を出現させて守る感じですかね?もちろん権限に基づいた具体的な業務指示には従順に従います。雇われ人として。

 

厄介なのは、このバンパイアになった上位職者の性向に職場のみんなが気付き始めて、少しずつ仕事のアウトプットを出し惜しみ(というか出せないんですけどね)しはじめた時に、血液が不足したバンパイアが自分を見失ってのたうち回ることです。これは本当に厄介です。どういうコトかというと、多くの場合は、もし成功したら評価が高いであろう無茶な仕事に手を出して、成功した時は自分の手柄に、失敗したら部下や他人のせいにできる体裁を整え始めます。途中経過の報告も最大限、上へのアピールに使い始めます。こうなると、もう上司だと思ってはいけません。無茶な仕事を自分で作っちゃう訳ですから。私は、そういった課題を押し付けられそうになったら、熨斗(のし)を付けて押し返すか、押し返せない時は前述のスタンスを守って言われたことだけやる消極的な担当者を演じるようにしています。熨斗をつけて押し返すというのは、その課題を成果が上がりそうなおいしい仕事に見えるように一旦は仕立て上げて、そのバンパイア上司に「よし、この件は俺がやる」と言わせることをいいます。手柄を急いでいるので、バンパイアは細かい問題点には気付かないことが多いです。なのでこんなやり方がおすすめですね。

 

最初の話に戻って、やっぱり人徳っていうのは難しいですね。何なのかも分からないし、教えてあげられないし、自分で人との関係の中で掴むモノなんでしょうね。本当に難しい。でも、誰かが見ていて私のやり方から何かを学んでもらえるように、耐えながら続けて行こうと思っています。2017年現在。