エナジーバンパイアについて考える

日本でエナジーバンパイアという言葉を耳にするようになったのは2010年ごろだったと思います。言い得て妙な表現だなと思いました。自己愛が満たされず、その心の隙間を埋めることを目的に生きているので接する人の元気を奪ってしまう人、定義はそんなところだと思います。

 

 

こういうバンパイアの存在が本当に厄介なところを3つくらい挙げるとすると、まず1つ目は社会に適合して自らの見え方の使い分けをするので外から発見されにくいところです。特にバンパイアの上位職者からは発見されにくいです。当然です、自己愛を満たしてくれる源泉となる権力を持っている上司にバンパイアは襲いかかったりしません。でも確実に部下は疲弊し、特に自分でしっかり考えようという気持ちのある人ほど元気を奪われていたりします。

 

2つ目は伝染することですね。原因になっているバンパイア本人よりも、感染したバンパイアの方が社会への適合能力が高いことは良くあるので、発見も遅れますし、何よりエナジーバンパイアを下から支えてそうなっているので、部下の元気を吸い取ることが正しいというのが組織としての文化として定着してしまいます。

 

それと3つ目に是非とも言及しておきたいのは、昭和から続く日本の組織マネジメントシステムには、このバンパイアが活躍できる仕組みがたくさん埋め込まれている点です。それは旧・日本軍のマネジメントシステムがバンパイア化を許してしまっていたからです。例えば特攻という行為は、導入初期にこそ大義名分はかろうじて成り立っていましたが、軍としての体面を保つための、軍の自己愛を満たすためだけの戦術でしたよね。玉砕は戦況の悪化から、当然ありうる撤退という作戦行動を想定しないという作戦立案者の思考停止を美辞麗句で取り繕うものでした。机の上で作戦を考えるだけの企画側の幹部には、今もこうした思考停止を美化しても許される空気や権限が残っていると思います。

 

私もこれまで大小さまざまなバンパイアを見てきましたが、今、特大のを見ていますので面白いから彼が何をしているかを書き留めておきますね。これ見事な負のスパイラルダウンになっていて、(1)自分の権威を上げようと、部下をしゃかりきに叩く、(2)部下が疲弊して権威が下がる、(3)部下もバンパイア化しているので、良い報告しか親玉バンパイアに上げなくなる、(4)本当の対策が打たれないので組織としての権威がますます下がる、(5)バンパイアは焦り、また(1)に戻って部下を叩くという状態が続いているのを傍観しています。今は傍観ですが、以前はまっただ中にいたので書くことができませんでした。

 

そこで私の考えるバンパイア対策なのですが、逃げる/距離を保つ、光の力で跳ね返す、光を当てて消す、杭を打って棺に封印するという古来からバンパイア対策として用いられて来たやり方が基本です。逃げる/距離を保つというのはなるべく近づかないように、興味を持たれないように振る舞うという方法ですね。あなた自身につまらないヤツだとか、仕事ができないヤツだというレッテルを貼られるかもしれませんが、そこで自己愛という評価軸にあなた自身が傾いてしまうと、あなたもバンパイアになってしまうのでご注意ください。組織の中には喜んでバンパイア化する人達もいるので、そういう人達にバンパイアが取り付いている隙に逃げるというのも有効でしたね。

 

光の力で跳ね返すというのは、現場を持っていないとできないことなのですが、自分の仕事の質やスピードを極限まで高めることでバンパイアが自己愛を差し込む隙を与えないという方法になります。これに対してバンパイア側の反応として個人の人格攻撃をしてくる、担当替えなどで仕事を奪ってくる、仕事の成果だけ奪って乗っかってくるといったことがなされますが気にしてはいけません。誰かが必ずあなたの仕事を見ていますから、そこを気にしてはいけないのです。つらいですが、あなたのいる部署が組織としておかしいよねという見え方になるまでは我慢になります。

 

光を当てて消すはバンパイアが太陽の光を苦しむように、外から光を当てることです。一番手軽かつ組織として認められているのは、バンパイアの上の上司に報告してバンパイア的な手法を止めさせることですが、これは一過性の対策に終わることが多いです。実はその上の上司も既にバンパイアになっていることが多いからです。またバンパイア的な手法というのを明確に定義することが難しいので排除しきれないことが多いです。

 

杭を打って封印するというのは、光を当てて消すとの合わせ技なんですが、影響の少ない部門に封じ込めてもらうといった手法になりますね。

 

何れにしても、結構な労力がかかる対策になりますが、必ずどこかで出会うことになるのでバンパイアの扱い方はどこかで正しく学んでおかないと、瞬間的に感染してしまってあなた自身がバンパイアになってしまう恐れがあります。それと駆除ができないバンパイアの巣窟に入ってしまった時に気付けないこともあります。ご用心ください。

 

自覚的な経営者は対策として360°人事評価を導入したりしてますよね。バンパイアは自己愛が最優先なので、部下に自分を正面から評価させる機会など作りません。だから私はそういう会社を探して入り直そうかなと、いま真剣に悩んでいます(笑)